出産後すぐのお風呂では、湯船に浸かってはいけないとされていますが、お風呂に入ってゆっくりと産後の疲れを癒やしたいと思っている方も多いはずです。
そこで今回は、出産後は湯船にいつから入っていいのか、入る時の注意点や入れない時の冷え対策などを詳しく紹介していきます。
出産後は湯船にいつから入れる?
一般的に、自然分娩と帝王切開どちらの場合でも、産後の1ヶ月健診の際に医師から許可が出れば、お風呂に入るときに湯船に浸かっても大丈夫とされています。
だいたい3〜4週間で子宮口が閉じるといわれているので、この頃から湯船に浸かれるようになりますが、担当の医師に従うのが安心です。
もし健診の際に聞きそびれてしまった場合、悪露が黄色に変化してきて、量が少なくなっていれば湯船に入ってもいい目安となります。
ちなみに、湯船に入ってはいけないだけで、シャワーを浴びるだけなら早ければ出産の翌日には許可が下ります。帝王切開の場合でも、2〜3日で許可が下りることが多いようです。
出産後すぐに湯船に入ってはいけない理由
出産を終えた体はとても疲れていて、すぐには回復せず時間をかけてゆっくり回復します。回復していない状態の体は、体力も抵抗力も弱まっています。
この時に無理に入浴してしまうと、体力を消耗してしまいますし、湯船に浸かることにより、子宮口から細菌や雑菌が体内に入り込んで、感染症を起こす可能性もあります。
また、帝王切開をした場合も、お腹の傷口の部分から細菌感染する可能性があり、細菌感染によって、産褥熱が出ることもあり得るのです。
妊娠中や出産により生じた全身の変化が、産後に少しずつ元の状態に戻っていくことを子宮復古または復古現象といいます。
子宮復古している期間は個人差がありますが、産後から約6〜8週間です。また、この期間中のことを産褥期と呼びます。
産褥期中は、悪露という子宮から排出される分泌物が、生理に似た感じで出続けます。この悪露が、鮮血色から茶褐色へ、茶褐色から黄色と変化していけば復古してきた証です。
つまり、子宮復古している産褥期は免疫力が弱く、細菌感染しやすいため、湯船に浸かる入浴は避けたほうがいいとされています。
出産後に湯船に入る時の注意点
悪露が落ち着いてきて、医師から湯船に入ってOKサインが出ても、しばらくは湯船に入る時に気をつけたいポイントがいくつかあるので確認していきましょう。
一番風呂に入る
湯船は、人が入る度にどうしても雑菌が増えてしまいます。産後のママの体は、免疫力が弱まっていて感染症にかかりやすいので、必ず一番風呂で清潔なお湯に入るようにしましょう。
また、たくさんの人が出入りする温泉や公衆浴場は、レジオネラ症と言う感染症を発症させる雑菌が発生しやすいので産後は避けましょう。
長風呂はしない
出産後に長風呂すると、体が暖まり悪露による出血が多くなってしまう可能性があります。また、産後は貧血にもなりやすく、お風呂場でフラフラしてしまうのは非常に危険ですよね。せっかく湯船に浸かれるからといって、すぐに長風呂することは避けましょう。
ぬるめの温度設定
熱いお湯に浸かって体を暖めたいと思う方も多いと思いますが、のぼせたり、貧血を起こさないためにも、38度くらいのぬるめのお湯に浸かるようにしてください。
入浴剤は入れない
入浴剤の使用については特に問題ないとされていますが、出産後はお肌も弱くなっていることと、膣の締りが弱いため水が入り込みやすいことを考えると、産後はじめての入浴の際は控えたほうがいいかもしれません。
お湯漏れ対策
出産の後遺症として、腟の締りが弱くなり、腟の中に入り込んでいたお風呂のお湯が出る「お湯もれ」という症状が起こることがあります。
骨盤底筋の収縮力を鍛えるトレーニングなどを行うことによって、症状の予防や改善につながります。骨盤底トレーニングは、会陰の痛みの治まる時期を目安に始められます。
膣に入ったお湯を出す方法
- お風呂場でやるか、タオルで股を抑えながらしゃがんで、咳払いを2〜3回する。
- 分厚めのタオルを両足で挟んで、タオルをぎゅっと締め付けるイメージで力む。
膣の締りを強める方法
- 体育座りで足を肩幅に開いて膝内側を近づかせ、タオルを股下に挟んで、両手で挟んだタオルを上に引っ張ります。タオルが取れないようにキュッと股に力を入れます。その状態を1分間続けましょう。感覚をつかめるようになったら、タオルなしでもおこなってみてください。
- 長座で片膝を立て、伸ばしている脚にクロスさせます。立てた方の膝を内側に向かって倒したり、立てたりを繰り返します。同時に、伸ばしている方の脚も、膝を内側に倒すイメージで股関節部分から内側に回します。これを左右30回ずつ行いましょう。
湯船に入れない時の冷え対策
足湯
足湯をすることによって、血液が温まって流れが良くなり、体温が上がるので、体の冷えを改善できます。また、足を温めることでむくみの予防や解消にも期待できます。
桶やタオルを準備しておけば手軽に行えるので、赤ちゃんが寝ている間や育児の合間など、ちょっとした時間に試してみてください。
血流を良くする食べ物
血液の循環に良いとされるイワシやサバなどの青魚、納豆などの発酵食品、ナッツ類などを積極的に食事に取り入れましょう。体の中からポカポカと温まってきますよ。
産褥体操
運動すると体が温まりますが、産後すぐにできる運動は限られています。産褥期にも行える運動として、おすすめなのが産褥体操です。やり方などは、下の記事で紹介しているので参考にしてみてください。
温活アイテムを使う
冷えた体を簡単に温めることができるのが、温活アイテムです。湯たんぽやカイロ、腹巻きやスパッツなどを活用して冷え対策をしましょう。
温める箇所でおすすめなのが、首、手首、足首、お腹、腰です。腹巻きやスパッツなどの衣類で温める場合は、締め付け過ぎないように気を付けましょう。
体調と相談してから湯船に入るか判断
自然分娩と帝王切開どちらの場合でも、一般的には産後の健診の際に、医師から許可が出ればお風呂の時に湯船に浸かることができます。
だいたい3〜4週間で湯船に浸かれるようになるママが多いようですが、入る前には必ず自分の体調や悪露の様子をチェックしましょう。
目安として、悪露が茶褐色から黄色に変化し、量が少なくなれば湯船に入ってもいいとされています。
湯船に浸かる際は、一番風呂に入り、ぬるめのお湯で短時間で済ませるように気を付けましょう。もし、湯船に入れなそうであれば、体を温めるように工夫してみてください。