お正月などに飲む飲み物として知られている甘酒ですが、近年はその栄養価の高さから、甘酒ブームが巻き起こっていて普段から飲んでいる方も増えてきています。
甘酒という言葉から、アルコールが入っているから妊婦さんは飲めないと思っている方もいますが、実は妊婦さんでも飲める甘酒があります。
今回、砂糖やアルコールが入っておらず、たっぷりの栄養が含まれていて美味しい米麹甘酒について、詳しく紹介していきます。
妊婦さんでも甘酒は飲める?
種類
甘酒には、大きく分けると「酒粕から作られる甘酒」と「米麹から作られる甘酒」の2種類があります。市販されている甘酒の多くが、酒粕に砂糖を加えて作られた甘酒です。
この酒粕から作られた甘酒には、少量ですがアルコールが含まれているので、妊婦さんは飲むことができません。
一方で、米麹から作られる甘酒は、米に米麹を加えて作られていて、砂糖やアルコールは含まれていないので、妊婦さんも飲むことができます。
甘酒ブームの火付け役になったのも、この米麹甘酒です。ブドウ糖やアミノ酸が多く含まれていて、栄養価が高いことから「飲む点滴」とも呼ばれています。
米麹甘酒の味
なんといっても特徴的なのは、甘さです。砂糖とはまた違ったお米の甘さや香りがあり、味に深みやコクがありながら、スッキリさわやかな口当たりも合わせ持っているといった感じです。
商品によっては、米粒をしっかり感じられる程ぼってりしたものもあれば、ほとんど米粒感がなく後味もサラッとしたものまで様々で、食感なども楽しめます。
米麹の甘酒による効果
米麹の甘酒は「飲む点滴」「飲む美容液」とも呼ばれていますが、具体的にはどんな効果があるのか気になりますよね。どんな点で優れているのか確認していきましょう。
疲労回復
米麹甘酒に含まれる麹菌には、栄養の消化吸収を助ける作用があり、効率よく栄養を吸収してエネルギーに変えることができます。
点滴と同じ成分であるブドウ糖やビタミンB群やミネラル、アミノ酸などが豊富に含まれているので、疲労回復や夏バテ解消などにも大いに期待できるのです。
また、麹菌は死骸となっても腸内にいる善玉菌のえさになり、免疫活動を活性化させて免疫力を高める効果もあるので、風邪を引いた時にも有効です。
便秘予防と解消
甘酒には、オリゴ糖や食物繊維もバランスよく含まれています。オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサになり、食物繊維は腸の中で膨らんで便を押し出す作用があります。
米麹甘酒を毎日飲み続けることによって、腸内環境を整えてくれるので、便秘予防や便秘解消に期待できます。
妊婦さんは、妊娠中のホルモンバランスの変化などにより便秘になりやすいので、便秘予防や解消効果があるのは嬉しいですよね。
美肌効果
実は米麹甘酒は、美容効果にも期待できます。甘酒にはビタミンB群が豊富に含まれていて、血行を良くして代謝を促進してくれ、毛細血管の隅々まで栄養素を届けて老廃物を流してくれます。
さらに、ビオチンにより、肌荒れやシミ、目の下のくまなどにも効果的で、皮膚の状態を整えてくれます。麹菌に含まれる酵素には抗酸化作用もあり、活性酸素の発生を抑制するので老化防止にもなります。
妊娠中の肌荒れはよくあることですが、お腹の赤ちゃんへの影響を考えると薬なども使えない場合もあります。そんな時に体の中からいい効果を与えてくれる甘酒は、大活躍してくれそうですね。
体重増加予防
妊娠中はダイエットは行なえませんが、甘酒に含まれるブドウ糖には血糖値を上昇させる作用もあるので、少量飲むだけでも空腹感を抑えてくれて、妊娠中の食べ過ぎ防止にも役立ちます。
妊婦さんは、食べ過ぎなどによって太り過ぎてしまうと様々な危険が出てきます。妊娠中の体重増加に悩む妊婦さんは少なくありません。そんな時に、甘酒を活用してみてください。
少しの量でも満腹感を与えてくれて、甘みもあるので、おやつ代わりに米麹の甘酒を飲むのもおすすめです。
ストレス緩和
甘酒には、イライラを抑えるGABAといったアミノ酸由来の物質も含まれているので、精神的に不安定になりやすいとされる妊婦さんに、とてもおすすめです。
妊娠中は、体が思うように動かなかったり、今までできていた趣味などもできなくなったり、ストレス発散が難しい場合があります。そんな時にも甘酒が活躍してくれそうですね。
妊婦さんにおすすめな甘酒の飲み方
量
米麹甘酒は、飲む点滴とも言われ栄養価の高い飲み物ですが、カロリーが高めで、甘酒に含まれるブドウ糖は過剰摂取すると血糖値が上がって高血糖になってしまう可能性もあります。
甘酒の飲みすぎで糖分を摂りすぎないためにも、1日に飲む量は200ml程度にして、1回につき、おちょこ1杯〜コップ1杯分の50~120ml程度にしておくのがいいでしょう。
妊娠前から糖尿病である方や、妊婦検診の際に妊娠糖尿病と診断された方は、医師や助産師さんによく相談してから飲む量などを決めるようにしてください。
時間
甘酒はご飯よりも素早く吸収され、エネルギーになると言われています。豊富な栄養素を取ることで体を活性化することができるので、1日の始まりに朝食と一緒に飲むのがおすすめです。
夜飲むことで疲労回復や安眠効果に期待できますが、甘酒はカロリーが高いため、脂肪として蓄えられるのを防ぐために、妊娠中は夜寝る前の摂取は避けたほうがいいでしょう。
温度
体温は1℃上がると代謝が12%上がるといわれています。それに、妊婦さんにとって体の冷えは大敵です。普段から飲み物は冷たいものより、ホットを選ぶのがいいでしょう。
また、甘酒に含まれている酵素が最も作用する温度が60度なので、甘酒はこの温度で飲むのが最も良いと言われています。
市販の甘酒では、だいたいの商品が加熱処理されていて酵素はほとんど含まれないそうですが、手作りの甘酒には酵素が豊富です。手作り甘酒を作った際には、温度にも気を付けて飲んでみてください。
妊婦さんにおすすめ!米麹甘酒の作り方
米麹甘酒の作り方には色々ありますが、今回紹介するのは炊飯器と少しの材料を使うだけで、簡単に甘酒を作れる方法なので、ぜひお家で試してみてください。
【材料】
米麹(生麹または乾燥麹) 250g
60度のお湯 300ml
【道具】
炊飯器
温度計
ふきん
- 炊飯器の釜に米麹を入れ、そこに55~60度のお湯を300ml入れて混ぜます。麹の固まりが残らないように、全体的にほぐしてしっかりと混ぜましょう。
- 55〜60度に保ったまま、8時間保温します。炊飯器を保温モードにして釜を入れたら、60度くらいを保てるように、その上からふきんなどを被せてフタを少し開けておきます。
- 炊飯器によって保温の温度が違うので、温度計を使って常に55〜60度が保てるように、炊飯器のふたの開け具合などで調整してください。
- 8時間が経過してからよくかき混ぜたら、甘酒の出来上がりです。麹とお米だけでできていて、砂糖やアルコールは入っていないので妊婦さんにもおすすめな美味しい甘酒です。
麹の甘みが強いため、そのまま飲むと濃く感じるかもしれません。その場合は、お好みで2、3倍程度に薄めてから飲んでみてください。
妊婦さんは甘酒を上手に摂ってみてください
甘酒は、妊娠さんにとってもおすすめな飲み物です。ただし、甘酒の2種類のうち、妊娠さんが飲めるのは米麹甘酒で、酒粕の甘酒は飲めないので注意してください。
妊娠中の甘酒には、便秘解消や体重増加予防、ストレス緩和など、メリットがたくさんあるので飲む量などに気をつけながら上手に摂ってみてください。
甘酒を飲んだことのない方は、はじめは甘さに驚くかもしれませんが、慣れると癖になる美味しさです。飲んだことのない妊婦さんも、ぜひ挑戦してみてくださいね。