妊娠中に水道水を飲んでもいいのか迷う妊婦さんも多いです。水道から出すだけで手軽だし、自宅にいればすぐに飲むことができる水道水ですが、本当に妊娠中に飲んでも悪影響はないか心配ですよね。
そこで、水道水について、妊婦さんが気になることをまとめました。妊婦さんの水分補給は、健康な妊娠生活や赤ちゃんの成長にも大きく関わることでもあります。
飲んでいいもの、飲むと良くないものをしっかり区別して、健康な妊娠生活に役立ててもらえれば嬉しいです。ぜひ参考にしてみてください。
この記事はこんな妊婦さんにおすすめ!
- よく水道水を飲む
- サーバーなどが必要か悩んでいる
- 妊娠中の飲み物について知りたい
- 水道水を安全かつ美味しく飲む方法を知りたい
妊婦は水道水を飲まない方がいい?
1日の水分摂取量
妊婦さんは水道水を飲まない方がいいのか、結論からいうと、水道水はあまりおすすめできません。
妊婦さんが1日に摂取したほうがいいと言われる水分量は、およそ2L〜2.5Lです。一般的に、成人女性の水分摂取量の目安は1.5L〜2Lですが、妊婦さんは普段よりも水分が必要になるのです。
その理由は、
- 脱水症状を予防するため
- 血液の流れをよくするため
- 羊水には水分が必要なため
- 便秘の予防と解消のため
などが挙げられます。しかし、水分ならなんでもいいかというと、そうではありません。
アルコールやカフェインの摂取はもちろん避けるべきですが、ジュースや水道水をそのまま飲んで水分補給とするのは、なるべく避けるようにしましょう。
カフェインが含まれている飲み物やジュースは、母体に負担をかける場合や、飲み過ぎると妊娠経過や赤ちゃんに影響を与える可能性もあります。
妊娠中は、母体に負担をかけずに水分補給ができる「お水」を積極的に飲むようにしましょう。
ただし、水道水を飲むときには注意が必要です。市販されているミネラルウォーターやサーバーのお水と水道水には、どんな違いがあるのか確認していきましょう。
水道水の成分
基本的に、日本の水道水の安全性は高いため、飲むことはできます。日本には、水質基準に関する省令というものがあり、水道水の安全性が保たれています。
しかし、妊婦さんが毎日の水分補給として水道水ばかり飲むのは、あまりおすすめできません。その理由は、水道水の成分にもあります。
水道水の成分で気になるものは主に、この3つです。
- 残留塩素
- トリハロメタン
- アルミニウム
安全な水を作るために、塩素を使って消毒をしますが、塩素は水道水の安全性を保つ上で必ず必要なものです。各家庭に届くまでに残っている塩素のことを残留塩素といいます。
塩素濃度は、利用する水の水質や季節、地域によって異なります。
浄水場で塩素を使って殺菌を行うときに発生する物質が、トリハロメタンです。トリハロメタンは、発がん性があるかもしれないとして、勧告されている物質なのです。
また、発生するトリハロメタンの成分うち、6~9割がクロロホルムだと言われています。クロロホルムの人体への影響は、
- 肝障害
- 腎障害
- 中枢神経障害
- 血圧や呼吸、心拍の低下
などがあります。かつては、麻酔剤として用いられていました。
しかし、実際に水道水に含まれるクロロホルムの量は、極わずかです。WHO(世界保健機構)では、水道水を一生涯飲み続けても、10万分の1の発がん率を越さないレベルで水質基準を設定しています。
日本では、WHOが定めた基準よりも更に厳しく設定しているため、世界的に見ても非常に安全性が高いと言われているのです。
アルミニウムに関しては、水道水に混ざっていますが、体内に入ってもほとんどがそのまま体外へ排出されるため、あまり気にしなくてもいいでしょう。
妊婦さんが水道水を飲む上で気になることがもう一点あります。それは、マンションやビルなどの貯水槽の衛生管理状態です。
衛生管理状態
たとえ、水質基準に定められた水道水ができたとしても、蛇口から出てくるまでの衛生管理に問題があれば、安全な水道水とは言えませんよね。
マンションやアパートなどの、いわゆる集合住宅の貯水槽の衛生管理について、近年問題視されています。また、蛇口は錆びたり汚れたりしていませんか?
つまり、水道水を飲むのなら、個人的に浄水器を取り付けたりして水道水を更に安全に飲む工夫が必要でもあります。
カルキ臭い
水道水特有のカルキのにおいを気にする人は多いです。特に妊娠中は、つわりなどの影響でにおいに敏感なるので、カルキ臭がする水道水を受けつけなく妊婦さんもいます。
カルキとは、次亜塩素酸カルシウムのことで、さらし粉とも呼ばれ、漂白や消毒の効果があるため、プールなどでは消毒薬として使用されています。
カルキと塩酸が反応し、塩素を発生しますが、発生した塩素のにおいが、ツンとした独特のカルキ臭さの元になるのです。
しかし、このカルキはある工夫を施すだけで、水道水から抜くことができます。いくつか方法がありますが、ひとつずつ確認していきましょう。
妊婦が水道水を飲む時の工夫
沸騰させる
水道水を沸騰させると、カルキが蒸発します。沸騰しても、しばらくは火を止めずに加熱を続けることがポイントです。
蓋はせずに、5~15分くらい弱火で煮沸させましょう。煮沸させることで塩素の他にハリトロメタンなどの有害物質を除去することもできます。
一晩置く
水道水を一晩寝かせると、カルキが蒸発します。まずは常温で一晩寝かせ、その後に冷蔵庫で冷やしておくと美味しく水道水を飲むことができます。
日光に当てる
日光に当て、紫外線を浴びせることでカルキが破壊されます。紫外線を通せるよう透明な入れ物へ入れて、日当たりの良い場所に置いておきましょう。
1時間程度で効果が出てきますが、6時間くらい置いておけば確実です。
よく振る
ペットボトルに水道水を3分の2くらい入れてから蓋をして、10秒程度よく振りましょう。これだけで、カルキ臭を薄くすることができます。
これは、カルキの成分が衝撃に弱く、振ると分解されて水から分離する性質を持っているからです。ペットボトルに入れて振る以外にも、ミキサーやジューサーに入れてかき混ぜるのも有効です。
レモン汁を入れる
レモン汁に含まれるビタミンCには、塩素を中和してカルキを分解する作用があります。レモンだけでなく、ビタミンCが含まれるものであれば可能です。
妊娠してから酸っぱいものを好むようになる妊婦さんも多いため、レモンの酸味や風味を味わうこともできるレモン汁入り水道水はおすすめです。
妊婦が水道水について知っておくべきQ&A
Q麦茶などの水出しや煮出しに使ってもいい?
水道水を使って麦茶を作るなら、水出しよりも煮出しがおすすめです。先ほども紹介した通り、水道水は沸騰させると塩素や有害物質などが除去されます。
水出しで麦茶を作るなら、水道水ではなくミネラルウォーターを使うのがいいでしょう。ただし、ミネラルウォーターで作る場合は菌が繁殖しやすいため、常温に置かず冷蔵庫で保存してください。
Q妊婦は、水道水ではなく井戸水は飲める?
妊婦さんは、井戸水を飲むことは避けるようにしましょう。
井戸水の水質は、その地域の環境や地層によって大きく異なります。全ての井戸水が安全で安心して飲めるとは言い切れないのです。
Q水道水を凍らせて氷にして飲んでもいい?
水道水を凍らせて、氷にして飲み物に入れても大丈夫です。
ただ、蛇口から出た水道水をすぐそのまま凍らせるのではなく、一度煮沸して不純物を除去した状態にしてから凍らせるようにしましょう。
Q水道水がまずいと感じるけど産後にはなおる?
妊娠中はにおいに敏感になり、味覚や食べ物の好みも変わることが多いです。水道水がまずいと感じるようになったのは、つわりによる影響かもしれません。
実は私も妊娠中は水道水の独特なにおいを受けつけなくて、食器洗いするだけでもにおいが気になったこともありました。でも、産後には、すっかり気にならなくなりましたよ。
Q妊婦には、軟水と硬水どちらがいい?
軟水か硬水かは、好みで選んで大丈夫です。妊娠中はどちらのほうがいいという決まりはないので、特に気にしなくてもいいでしょう。
妊婦が水道水を飲むことについて、まとめ
妊婦さんでも水道水は飲むことができますが、普段の水分補給を水道水だけで補うのはおすすめできません。
その理由は、大きく分けてこの3つ、
- 水道水の成分
- 貯水槽の衛生管理状態
- カルキ臭
ですが、水道水の成分やカルキ臭については、少し工夫するだけでより安全に美味しく飲むことができるようになります。
水道水をより安全に美味しく飲むための工夫や方法は、
- 沸騰させる
- 一晩置く
- 日光に当てる
- よく振る
- レモン汁を入れる
どれも自宅で簡単にできるものなので、妊婦さんが水道水を飲む際にはぜひ試してみてください。
それでも水道水を飲むことに抵抗があったり、成分などが気になるようでしたら、ウォーターサーバーや市販のお水を飲むようにしましょう。